未亡人 おさじが楽しく語ります

苦しい死別を経験した、いまは明るい未亡人のはなしです

さて、喫茶店のお話でも・・・喫茶テネシー

先日、地元の純喫茶へ行ってまいりました。

場所は横須賀共済病院近くに店を構える”喫茶テネシー”さんです。

レトロが昔から好きな私は、最近の純喫茶ブームに乗っかって、ここは一度訪れたいと思っていた場所です。

 

さあ、念願の入店です。

渋い店内にワクワクがとまりません

どうですか、このレトロ感!!!感動ものです。

この最高のレトロ空間に、コロナ対策で一部パーテーションを設けておられるのが、折角の雰囲気を壊していて惜しい!とさえ感じてしまいます。

 

初めてでドキドキしているところ、女性が気さくに店内に案内してくださいました。

テーブル席に腰をおろし、早速メニュー漁りです。

オムライス

ドライカレー

レモンスカッシュ

クリームソーダ

ドンピシャなラインナップです。

が…やはりここは、コーヒーはマストでしょう。

初めてですしね、信頼関係を築くまではご挨拶と基本には忠実でないとね。

 

私は雰囲気が良ければ、楽しく美味しいと感じるバカ舌なので違いなんてわかりませんが、店で一番高価なブルーマウンテンと、割安なオリジナルブレンド(ホットケーキセット)を頼んで味比べをすることにしました。

 

さてオーダーを終えて、店内をじっくりと眺めて雰囲気を楽しみます。

先ず真昼間なのに、太陽光なんて全く感じない落ち着ききった店内(いい意味で!)

そして入店時即座に感じた強烈なタバコの匂い

長年の喫煙でいたるところに染み付いているのでしょう。今でこそ店内禁煙の店が当たり前になりましたが、かつてタバコは男のたしなみ。

コーヒーとタバコとジャズがセットだった、盛り場時代を物語る悪びれることのない匂いです・・・

勿論スピーカーからはjazz!

Duke EllingtonのIn A Sentimental Moodがゆったりと流れて雰囲気を爆上げしてくれているじゃないですか!!!

 

う~~~ん、いいです。最高です。

さらに店内を繁々と眺めていますと、鋲うちのソファや子供のころによく見かけた琥珀色の美しいコーヒーシュガーの欠片

凝りに凝った壁紙の模様

脚のついたレトロなコーヒーグラスなどなど

心躍ります。

子どものころを思い出す、懐かしのコーヒーシュガー

天井にはちょうどいいシャンデリア。このアンバーカラーの壁紙がステキじゃないですか。

一通り眺め終わり、ゆっくりとコーヒーを味わっていますと、先客の粋のよさそうなご婦人二人の会話が耳に入ってきます。

盗み聞きしたんじゃないんですよ。

大きな声で快活にお話しされているので、聞こえてきちゃうんですよ。

 

どうも大学生の男のお孫さんが、最近お化粧をされているようで(笑)

それを受け入れられないとご婦人が大騒ぎ(笑)

孫がオカマなんだと、お仲間のご婦人に話しておられました。

時代ですねぇ・・・('ω')

最近は男性コスメも多いし、若い男の子のメイクアップも当たり前になってきたんですね。

私も肌感覚で、そういうものなんだと認識しています。

でも、そのご婦人方は見たところ齢70~80前後でしょうか。

なかなか受け入れ難い新常識なんでしょうねぇ。

そちら側の気持ちも、わからない分けではないです。

歳をとるにつれて、新しい感覚を受け入れることが難しい人が多くなる気がしますものね。

 

そのお気持ちもわかりますよ~~~なんて考えていたら、ご婦人方はもう別の話題に(笑)

次は、病気と寿命の話をしておられました。

病院の側ですし、もしかしたら通院帰りかもしれませんね。

「母親が同じ病で亡くなってるからさぁー、私もそろそろだー」と。

一見重たい話のように感じますが、ご本人たちはでっかい声でカラカラあっけらかんと話しておられました。

 

こういうの、いいですよね。

こういう方、私は好きです。

ニコニコ、ニヤニヤしながら聞かせてもらいました☆

 

さて、肝心なコーヒーのお味ですが、私はやはりバカ舌なので詳しい違いなどは恥ずかしくて書けないのですが

オリジナルブレンドはえぐみも痺れる苦みもなく、スッキリと香ばしい薫りがよく好きでした。

ブルーマウンテンは、さらに奥行?深さがあるような味わいを感じました。(自信がなく、抽象的ですみません)

コーヒーはまだまだ未知の領域ですので、あまり偉そうに美味しいだどうの、と言えません(笑)

 

私にとっては、コーヒーの味だけではなく、ここの独特なレトロな雰囲気を一緒に楽しめるのがいいのです。

年季の入った渋い雰囲気から察するに、きっと私の親世代、またはもう少し上の世代の方たちがこぞって訪れていた場所だったのでしょう。

かつて、ここが最新の盛り場だった時代があったに違いありません。

 

時代は流れ、オシャレカフェが台頭するようになっても、ここで変わらずこのスタイルを貫き続けてこられて、また今ようやく流行の流れが巡ってきたんでしょうね。

すごいなぁ。

私が大学生のころ、カフェブームで地元にも何件かカフェがオープンし、世界観や独自性を競っていました。

私も休みのたびにカフェ巡りをしたりしていましたが、当時オープンしたカフェのほとんどが数年でなくなり、今ではもうほとんど残っていません。

 

流行や時代の価値観が目まぐるしく変わる中で、同じことを長く続ける、同じスタイルを貫き通すのは、簡単なことじゃなかったはずです。

ブームが去れば、次に訪れるのは時代錯誤のレッテルですし・・・

ひとつ、またひとつと同業が店を閉めても、それでも続けてた結果、一週回ってまたその価値が見いだされ、このセンスに共感して集う人が増えてきたんでしょうね。

本当にすごいなぁ。

 

隙のないオシャレなカフェもいいけれど、今またその価値がグンと上がっている喫茶店。その中でも、昭和の雰囲気をいい意味でそのまま残した”喫茶テネシー

 

ご婦人方のお話を聞きながらゆっくりとコーヒーの飲み比べをして、レトロアンバーな雰囲気を堪能した最高の時間となったのでした。